「アンタは、オレを二次元に感じてるからそうやって……なんでもかんでもやりたい放題にできるんだ。
ほんものの恋みたいに、相手のためにって距離を置くこともない。アンタは産まれてくる次元を失敗したんだ」
サンズはそういって、足でぼくを蹴飛ばすと、上体をおこす。
「そうか、ぼくのは恋じゃないんだね。一方的な愛にすぎないんだね。存在しないものに対する願望だから、こんなに好き勝手にできるんだね。それを批判する人とは、価値観が違うってことなんだね」
綺麗な回廊の光が、サンズを淡く逆光にして、いつもの笑顔をゆるやかに見せてくれる。
「まあ、これも全部、アンタの願望にすぎないし?
ただ言えるのは、……言わされてるのかな?オレは。
なんだっていいか、とにかく、思いやりを忘れるなってことだな」
「ワンクッションとか、注意とか。だって万人受けするはずがないもん」
サンズはふう、と息を吐くと、タイルにゴロッと寝っ転がった。
さっき、起きたのに。ぼくはただ「やり直すの?」とたずねる。
するとサンズは、白い眼光をグルっと回して「ぜんぶアンタ次第ってこと」と、答えた。
そうだね。
もっとちゃんと、きみのことを好きでいられたらな。
11/4/2025, 1:54:07 PM