流行曲で救えない命

Open App

色とりどり

光彩陸離。頭の辞書のなかにだけあった、綺麗な言葉。こんな綺麗な言葉とは一生接点などないだろうなと思っていたのに、きっと今目に映るものをそう呼ぶのだろう、ぼんやりとした思考の中で考える。
サンキャッチャーが朝日に揺れている。それは宝石のように光を散らし、光は虹のように様々な色を内包していた。
目覚めたばかりのわたしの目にはいささか眩しいものだ。わずかに瞼を下げて薄らと影を作る、これなら眩しくないだろう。

「ごめんね、眩しかった?」

そっと瞼の上を、誰かの手に包むような優しさで覆われる。
先ほどまで眠りを委ねていた暗闇は温かく、不思議と安心した。昨夜、こわいとわたしの隣で呼吸をしていたひとに縋ったのが嘘のように。

「……少し、だけ」
「そう、良かった」

瞼を覆われたのと同じくらいの強さでわたしの目を覆っていた手が離れていく。

「おはよう、良い夢は見れたかい」
「夢は見てない、けど、悪くない眠りだった、と思う」
「あはは、なにそれ」
あなたが笑って、わたしの前髪をくしゃりと撫でる。愛おしげに細められたその目元にはサンキャッチャーが散らした光彩陸離の光が落ちていた。

1/8/2026, 11:15:23 AM