森野ゆう

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メッセージが届く。

突然に。

身に覚えのない内容。

勝手に怒って、勝手に納得して、勝手に許してくる。

ついていけない。

社会人3年目。

仕事にも慣れてきた頃。

なのに。

中学からの親友と会話が成立しない。

あんなに楽しかったのに、あんなに語り合ったのに。

今はもうこちらの言葉が届かない。

そんなやりとりが一年。

彼の言葉が、その行動基準がどうしても理解らなかった。

だから。

僕は逃げた。



彼の父が亡くなった通夜の日、彼の母から彼のことをよろしく頼まれた。

改めて言われなくても自分は彼の友人だ。

いつまでも彼の味方であり続けることを疑いもしなかった。



なのに。

逃げた。

あの時の僕は弱くて、理解出来ない恐怖が受け入れ難くて、僕の心が保たなかったから。

連絡先を消して、携帯の番号も変えて。

それきり、なんの連絡もない。



けどーー。



ーーふと思い出す。

彼はどうしているのだろうか。

生きているのだろうか。

彼の家はまだあの場所にあるのだろうか。

彼の母と二人暮らしだった彼はどうなったのだろう。

役者を目指して劇団に入っていたが、どうなったのだろう。



彼は彼から逃げた私を恨んでいるのだろうか。



いつか、あの街に行って確かめてみたい。

もう記憶の中で朧げになってしまった彼の家の表札はどうなっているのだろう。



願わくば、彼の人生が幸せでありますように。



そう祈れば私の心は少し軽くなる。

欺瞞。

ああ……。

言い訳ばかり上手くなっていく。

私も歳を取ったものだ。

                     - 後悔 -

5/15/2024, 3:21:56 PM