家に不審なものが届いた。というより玄関先に置かれていた。赤い包装紙で包まれたそれは、正方形でスイカ大の大きさ。
郵便物をチェックしに外に出たら、門柱の上に赤い箱が置かれていたのでびっくりした。いっときそれと目が合う。
迷ったが、なまものだったらいけないので、ひとまず得体の知れないそれを家の中に入れた。
箱を持ち上げたとき微かに鼻をついたのは、吐き気を誘うような酸っぱい臭い。波乱の予感がしたが、それの中身を思うといても立ってもいられなかった。
送り主が不明ということは、直接そこに置いていった者がいるということ。
こんな手の込んだ嫌がらせをする相手に、実は心当たりがないでもない。だがそれを認めるのも癪なので、今は送り主については考えないことにした。
部屋に臭いがつくのも嫌なので、風呂場で開封することにした。
両手に箱を持ってひたひたと移動する。フローリングの床がいやに冷たい。
――開けるな!
これを見つけたときから、がんがんと警鐘が打ち鳴らされ続けている。訴えかけてくる本能の声に蓋をして、私は紐の結び目に指をかけた。生臭い紐がするすると解けていくたびに、私の手も汚れていく感じがする。
(酷い男。この私にも犯罪の片棒を担がせようだなんて)
1/23/2025, 9:37:07 AM