あの日見た景色には君がいた。
そんなこと思いながらカメラを構え空の景色を適当に撮る。
小さい頃。やけに大人びていた自分はクリスマスにカメラを頼んだ、それを今も使ってる。周りからは“もうスマホの時代だよ笑?”とか“変なの”としか言われないでも僕はどうでも良かった。小さい子が虫を取って虫籠に入れるのと同じで僕は写真を撮ってカメラの中に閉じ込めるのと同じだ。
唯一君だけが褒めてくれた。人を撮ってみたかった自分は初めて、撮って撮ってとせがまれすごく照れ臭かった。
そんな思い出もあったなぁなんて思うことしかできない。
写真のメモリーには君が閉じ込められている。手慣れた手つきで写真を見ていくと見覚えのある山、空、君、の景色が広がっていた。なぜかどうしても行かなければならないと思った。
山なんて久しぶりだしアウトドア系でもない僕と真反対の君は山が好きだった、だから休みとかは付き添いとかで軽い山にでも登っていた。
山は過酷で嫌になりそうなくらい疲れたけど僕諦めなかったよ。ちょうど写真と同じ時間帯に行こうと思ったけどやっぱり衰えて少し遅くなってしまった。
最後の一歩を登り切った時僕の目の前には山、澄んだ空、が広がっていた。足りないのは君だけ。
せっかくだからと思ってカメラをかざしシャッターを切る。
その時間を閉じ込めることができた。
本当ならここにいたんだろうな。本当ならもっとコレクションはあったんだろうな。妄想だけだけど僕は幸せだった。
また会いにくるよ。
そっと花と君の好きな僕の写真を置いて僕は山を降りた。
7/8/2025, 1:05:00 PM