「もうすぐ終わるね」
「そうだな」
頭上の星空に届くほどの高層タワーの上で、僕らはその日を待っていた。
「街は眠らないね」
彼は見下ろして静かにつぶやいた。
僕もそれに習う。
「そして、変わらない。」
闇は濃く深い。
その袂にいれば余計な心配も不安もいらない。
それなのに眼下に広がる人工の光は闇を恐れて眠らないし、そこで暮らす人の営みも大昔から変わらない。
夜風が彼の、月のように淡い髪をなでていく。
僕の灰色の髪にも同じようにして通りすぎていった。
「でも、君とまた彼女を迎えられるなんて、こんなに嬉しいことはないよ。氷月。」
彼、睦月は嬉しそうにそういった。
僕も同じ気持ちだ。
「僕もだ、睦月。」
果てない年月をかけて、砂のように崩れては生まれ変わる瞬間を、僕らはここでずっと見てきた。
今晩一年で切り変わる境目に僕らはいる。
彼女が目覚めるのを待っている。
12/26/2025, 7:56:56 AM