NoName

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皮肉屋の君はいつも片方の口角だけを引き上げて嘲笑う。
見さげる視線は冷淡で爬虫類のよう。
君の皮肉に苛立つ僕は、君が嘲笑うたびに尖った言葉を投げつける。
それさえも楽しむような君が、腹立たしい。

嫌いだ、と言ってしまえればよかったのに。

今、君がほんの一瞬覗かせた笑顔は、まるで太陽のように暖かで。
君に感じているはずの苛立ちも、口をついて出るはずの悪態も霧消する。

好きだ、と言ってしまいそうになる。

2/23/2024, 12:14:50 AM