ゆんたろす

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-行かないで-

「最初、こちらの世界に来た時は戸惑ったっす」

寂しそうに笑ったアモンは、私の問いに答えず話し始めた。
何を話せばいいのか、言葉が出てこなくてただ黙ってアモンの言葉に耳を傾ける。

「こっちの世界は東の国の文化に似ていて、俺のいた世界とは違って文化も発展していてムカつくくらい平和な世の中でだと思ってたけど…守ってくれる人間がいるから、平和だったんすよね」

『…アモン…』

「テレビってやつで活躍を見た時に敵を捕まえて、皆から賞賛されている人間が、私生活は家事も出来なくて酷い有り様なんて、笑っちゃうっすよほんと…俺と同じ部屋に住む人より世話が焼けるっす」

アモンはゆっくりと私に近づき、目の前に立つと私の肩におでこを付ける。段々と声が震え始めるのを聞くとたまらず抱きしめた。

『アモン…私、アモンがいないとダメだよ…だから…』

行かないで、という前にアモンの指が私の唇に触れる。
涙を流しながら首を振ったアモンに、本当にこれは夢なのかと錯覚してしまった

10/24/2023, 11:34:00 AM