ふたりの友達がちょっとした遊び心で
私の好きな人に、
好きな人がいるか聞いてくると言った
私は最悪の結末を予想して
大丈夫、と言いかけた
でもその一言は聞かずに
ふたりはにこにこと
私の好きな人のところへ
歩いて行った
目があったら気まずいから
私はそっぽ向いた
話は思っていたより長かった
一方に話が終わる気配がない
私は、その”最悪の結末”に
なってしまったんじゃないのかと恐かった
不思議に、話が終わるのが
凄く長く感じた
話が終わったみたいだ
こっちに歩いてくる
ふたりはこそこそと
なにか少し話した
ほんとに少しだったから
深くは考えなかった
ふたりは戻ってきた
「『いるよ』って笑って言ってた」
ふたりは言う
少しほっとしてしまった
その相手が誰か分からない方が
幸せなのかもしれない
そのあと、違う友達に
呼び出された
なんだろう、と思いながら
教室を出て約束の場所へ行く
私は友達に、どうしたの?と聞いた
友達はゆっくりと話し始めた
「ああ、ごめんね。」
私は黙って友達の話を聞く
「休み時間のときの話なんだけど
ちょっと話したいことがあって。」
私は、うん、と相槌を打つ
「私、聞いちゃったんだ。
その...好きな人の話。」
その言葉にドキッとした
友達は話を続ける
「あの...ね、言いづらいんだけどね...
なんか、『いるよって笑って言ってた』ってあの子
たちが言ってたでしょ...?」
そこまで話した時点で
もう次に出てくる言葉は、予想できてしまった
私はゴクッと唾を飲む
「それ、ほんとは違うの。
...他校の...進学校の..人を好きなんだって...
聞いちゃったにはもういてもたっても
いられなくて。聞きたくなかったらごめん。
これだけだから...またね。」
友達は足早に帰っていった
ここはもうひとり
涙を流して
夕焼け空を見上げる
あのふたりは
嘘をついていたんだ
でもこの嘘が
悪い嘘だとは思わなかった
「やさしい嘘」
少し変えてるところもありますが、
ほんとにあった話です。
嘘は良くないけど
相手のことを想って言う嘘は
良いか悪いかってなったら難しいですよね...
1/24/2025, 2:24:50 PM