しがない学生

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傍観者に祝福の花束を。

私は何時も見ているだけだった。
誰が何をしようとしても、誰がどんな事を言おうと見ているだけ。
そう、見ているだけだったんだ。

私「……………………………」

クラスでは流石に酷すぎるイジメが起こっていた。
変な格好をさせたり、噂を学年を超えて広げたり、虐められている男の子にとって生き地獄も同然だろう。
だけど、それでも私は何も出来ない。
ただ、見ているだけだった。

そんな時に一つの事件が起こって、私は身震いした。

"此処のクラスから一人ずつ死んでいっている。"

次の日、また次の日と来る度に私の友人やクラスメイトの子は皆、後日死体となっていたのだ。
クラス内ではイジメではなく、次は誰なのかと好奇心が湧いている人や怖がっている人が居たのだ。

だけど、それでも私はクラスメイトを見ているだけ。

そんな事を繰り返していく内に、私が最後の一人だけになっていたのだ。
担任の先生は勿論、他の学年の人も殺されてしまっている人は少なくは無かったのだ。

「やぁっ…と最後だ。俺はずーっとこの日を待ち侘びてたんだ。」
私「……貴方、だったんだね。まぁ何となくは分かってたけど。」

やっぱり犯人はあの時イジメられていた男の子。
男の子は私の姿を見るなり、嬉しそうに表情を緩めていたのだ。

「だろうなぁ??お前は何時も見ているだけだったんだから……、まあそれが一番頭が良いかもしれない。」
私「私を殺すなら早く殺して。もう私は何も失いたく無いのよっ…………」

私は思わず涙を流してしまったのだ。
ずっと、見ているだけだったんだ。
だからこそ、人の死や苦しみを沢山目の当たりにして、でも何も解決が出来ない自分が憎くて。
何回も自殺を選んで、友達のもとに行こうとしてた。
私なんかが天国に行けるわけ無いと思って。

「違う……俺はお前の涙を見に来たわけじゃない。これ、お前に渡したかった。頑張って選んだんだぞ?"スノードロップ"。」

男の子はそう言って、顔を上げた瞬間に私の目の前に花束を差し出して来たのだ。
男の子は私に受け取るように、私の手を握って、花を渡した。

私が受け取ったのを見た男の子は私に微笑み、凶器を上から下にやった。

グシャッ、

その瞬間に私は死んだ。

10/26/2024, 1:45:27 PM