神埜

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#夜景

キラキラと光る橋、ビル、民家。

綺麗だなぁとぼんやり眺めていたら、いきなり背後から肩を掴まれ振り向かされる。

なんだなんだと背後に目を向けるとそこには厳しい顔をした中年のサラリーマンが一人。

「あんたはまだ若いんだから、早まっちゃいけない!!」

こいつは何を勘違いしているのだろうか。

「あの、「生きていれば良いことはきっとある。だから」あの!!」

私が声を張り上げると、ビクッとして肩からやっと手を離した。

「あの、別に私、死のうとなんかしてないんですけど。」
「え、?」

やはり彼は私が自殺しようとしているのではないかと早とちりしたようだ。

「じゃあ、なんでこんな時間にこんなところに突っ立ってたんだ。」

「別に、仕事終わりにここを通りかかったらいつもは見ていなかった景色が思ったより綺麗だったんで見てただけですけど」

「そ、そうか。はやとちりしてしまってすまない。」

彼は恥ずかしそうに早口にそう言って歩き去っていった。
「今回は間違いだったけど、たまには他人に心配されるのも良いもんだな。」

若者はそう独りごちて、また1歩自宅に向かって歩みを進めた。

9/18/2023, 3:43:04 PM