彼は偉大だった。
全ての人が彼を崇め畏れ称えた。
彼はそれらを全く相手にしなかった。
どこまでも強く、
どこまでも脆かった。
彼はすぐに消えてしまうほど弱かった。
だが海を行き山を行き彼は見違えるほど別人になった。
もとの弱さなんてなかったように。
彼は弱かったが泣かなかった。
強くなり帰った時。
彼は泣いた。
感情的ではない。
まるで“そうあるべき”と教えるように。
そして空中に霧散した。
彼の匂いが地にこびりつき人々はあの一瞬を焼き付けた。
二度と忘れないように。
教訓を。
[涙の理由]
9/27/2025, 11:53:07 AM