郡司

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深い安らぎが満ちている場所があった。書斎のような部屋の風体で、胡桃材らしき机があり、その場所のあるじは机で文書のチェックと構造追加作業をしている。なぜか眼鏡をかけている…いつもはかけてない、はずだ。とても静かで、暑くも寒くもない、明るすぎず暗くもない。あるじの邪魔にならないように、私は静かに黙って座っている。机と同じような色合いのハイバックソファーのはじっこだ。机からいちばん遠い位置。

静かに確かに響いてそこに満ちる安らぎ。間違いなくあるじの響きだろう。眠くなったからはじっこで丸まってうとうとした。

「できたよ」と、静かでにこやかな声が聞こえて目の焦点がはっきりする…………と、いうところで現実感覚へ戻って来たことがある。

残念ながら、そこのあるじの瞳を覗き込むことはできてない。でも、静かさと安らぎの充ち満ちる「その場所」は、沈黙さえ美しい感じがした。どんな眼差しをしているか瞳を見るまでもない気もする。

時々そこへ戻りたいと思う。

3/14/2024, 3:06:47 PM