"君と最後に会った日"
一つは、呼び出され一方的に別れを切り出された、あの日。
今思えば、あの時は珍しく向こうから連絡が来て少し浮き足立っていた。そんな中で行ってみれば開口一番「もう会えない」と言われ、驚きと混乱が胸中を満たした。
せめてお互い最悪な思い出にならない、卒業式のような別れ方をしようと悪あがきをした。
たとえそれがエゴだとしても、ああしないと嫌な心残りをすると本能で確信したから食い下がった。
最後にあの人の笑顔が見られて良かった。それがせめてもの救い。
だが、理由を聞かなかった事はとても後悔した。
十中八九仕事関連だと分かっていた。守秘義務があると分かっているから聞かなかったけれど、みっともなくても良いから、何故もう会えないのか聞けばよかった。
もう一つは、あの《史上最悪な悲劇の日》。
別れ方も最悪だった。
何が何だか分からないまま別れた。
少し言葉を交わすだけで、ただ目の前で消えていくのを見ている事しかできなかった。
あの時とはまるで正反対の別れ方。
けれど二つに共通するのは帰宅後、自室で己の無力さを感じた事。
6/26/2024, 1:39:40 PM