(友達)
びょう室から見える空が遠い。まくら元には、学校の友だちがおってくれた千羽づるがある。
「こんにちは、どう?具合悪くない?」
「……大丈夫です。」
かんごしさんは、それなら良かったと言って笑った。
「じゃあ、点滴、替えるね。」
……………………
「いつもの事だけど、点滴が切れたらナースコール押してね。」
「はい。」
ガチャリという音がして、パタパタとスリッパの音が遠ざかっていく。
そうなったらまた一人だ。
「さみしい。」
もうすでに半年はびょういんで生活していた。
……………………
…………
その日、夢を見た。学校の夢。
友だちと遊んだり、べん強をしたり……。
夢だけど、それでも楽しかった。
…………
目をさます。
「ん……ふぁ。」
ふと、顔をあげると、まどから空が見えた。あいかわらず遠い。でも、今日はなんだか違って見えた。
あんな夢を見たからかな。
手元にあった千羽づるをかざしてみる。太陽の光が透けて、おり紙がキラキラして見えた。
「綺麗……。」
それで、ぼくは、なんだか一人じゃない気がした。ここにいるよ、って。いっしょにいるよ、って言われているような気がした。
それはきっと、この千羽づるのおかげだ。
学校に行きたい。そのためにびょう気を治そう。
そして、学校に行ったら、千羽づるのお礼を言おう。
みんなのおかげで元気になれたよ、って!
10/25/2022, 12:29:31 PM