かたん、かたん、と電車が揺れる。
窓から見える景色は、うっすらと雪の白が混じっていた。
「寒くないか?」
問われて首を振る。
「全然。コタツ、あったかいもの」
そう笑えば、彼も淡く微笑んでくれる。
暖かい。外は冬に向けて季節が移っていくのに、列車の中は少し暑いくらいだ。
ふと、思い立って彼の肩に凭れてみる。驚いたように小さく息を呑んだ彼は、次の瞬間には嬉しそうに笑った。
「どうした?」
「なんでもない。コタツ列車って初めて乗ったけど、なんかいいなぁって」
「気に入ってもらえてよかった」
頭を撫でられて、心地よさに段々と眠くなってくる。
冬も悪くない。
堂々と触れ合える季節に向かう列車の中、一人幸せに笑っていた。
11/19/2025, 9:49:08 AM