いつしかFの周りには、共に山を登る仲間ができていた。「今日はもうそろそろ、この辺りでキャンプにしよう」「そういえばFさんは、登山のどんなところが好きなんですか?」Iが聞いた。するとFは、何か思ったのか西の方を向いて、そちらをじっと見つめた。西の空では、夕日が今にも山の向こうへと沈もうとしていた。「夕焼け、綺麗ですね」Fが返事をすることはなかった。彼はじっとそのまま、光を見つめ続けていた。
11/11/2024, 11:10:29 AM