うまいものを食う
食事とは生き甲斐であり、人間の本質である。
人間と食べ物の間には、独自の世界がある。
うまければうまいほどその世界は深化していく。
捕食・被食の関係を超越したその世界の中に、言葉は、ない。
いや、言葉を用いる必要が無い、というべきなのだろう。
言葉は便利だ。
言葉は自身の考えを明確化し、発することで相手と交流できる効果を持つ。
しかし、言葉は諸刃の剣でもある。
言葉を考えることで自身の思慮を固めてしまうからだ。
うまいものには、柔らかな思慮が必要だ。
うまいものと向き合うときには、ただ「うまい」と思えばいい。
言葉を連鎖させるように「何々が是々でうまい」とまで言う必要がない。
一人で食べるとき、世界には自分と、食べ物しかいない。
三人称は無いのだ。
言葉でなく、感性で向き合いたい。
8/29/2024, 2:27:06 PM