【時間よ止まれ】
小説を書くこと――
それが、昔から私の趣味だった。
しかし、ここ最近……
思った通りに文章が書けず、私は悩んでいた。
(日本語って難しい……)
いわゆるスランプというやつだった。
でも、腐っていても仕方ないので、私は修行に取り組むことにした。
一日一題、お題を出してくれるアプリを見つけたので、それを使って作文をしてみようと思ったのだ。
これを続けたなら、文章能力の向上に役立つかもしれない。
そこで、日々取り組んでみたはいいが……
(あー……ダメだ、これ絶対に間に合わない……)
やはり、文章を書くのは難しい。
思った通りに書けず、今日も私は四苦八苦していた。
(どうしよう、このままじゃあ七時になっちゃう……)
夜の七時になれば、新たな今日のお題が発表される。
そうなれば、昨日のお題での投稿はもう出来ない。
つまり、それは明確なタイムリミットだった。
「あああああぁぁぁ! 書けないいいいぃぃぃぃ!」
焦って喚く私の足元に、白くて美しい天使が絡みついた。
《おい、何をやっている? 人間、僕への供物はどうした?》
「あああぁぁぁぁ、無理! 書けないっ! 間に合わないっ! 無理いいぃぃぃぃ!」
《やかましい! 早く供物をよこせ!》
短気な天使が、バンッ!と床を踏み鳴らす。
「あああああぁぁぁ、書けない、間に合わないいぃぃぃ! 時間よ止まれええええええぇぇぇぇ!!」
《供物よこせ!》
キレた天使が、私の足に噛み付いた。
―END―
9/20/2022, 9:12:37 AM