快晴
パシャッ…パシャッ。シャッターの気持ちのいい音が屋上に広がる。
「今日も綺麗だな〜。」そんなことを呟きながら、僕は空の写真を撮る。シャッターを切るのに夢中になっていたら、同じクラスの女の子が泣きながら屋上に入ってきた。僕はびっくりしたがその顔に馴染みがあった。僕は、その子に近寄り
「だっ…大丈夫?なんかあったの?」とハンカチを差し出しながら聞いた。すると女の子は、驚きながらも僕のハンカチを受け取り涙を拭いながら
「大丈夫…大丈夫。ごめん。ありがとう。」と素っ気ない返事ではあったが、僕にお礼を言って去っていった。僕は気がつくと、何か彼女にあったのではないかと心配になった。だって彼女はいつも、笑顔で明るい人だから。
次の日
僕が学校に登校し、教室に入ると彼女は教室の窓側の席隅っこで俯いていた。僕は、不思議に思った。あれ?いつも一緒にいる子達がいない。なぜだろうと教室を見渡すと、廊下側の机に固まって彼女の悪口を言っていた。何かあったんだな…そう思った。
授業が終わり、僕はいつもの屋上に行った。屋上に着くと、カメラを準備し空を撮り始める。僕にとってこの時間は癒やしの時間でもあり、学校生活で唯一上を向ける時間だから僕はこの時間が大好きだ。今日も空に夢中になっていると、彼女が来た。服が汚れていた。僕は、彼女に駆け寄り
「ど…どうしたの?服が汚れてるよ?何かあったの?」そう聞くと、彼女は俯きながら泣き出した。僕はどうしていいかわからず、とりあえず彼女を抱きしめ
「ここは僕しかいないから、たくさん泣いていいよ。」そう言うと、彼女は僕の背中を掴みより一層大声で泣き出した。彼女が泣き止むと、ぽつりぽつりと僕に話だした。
「あの子達にいじめられてるんだ。いつも、私はあの子達に合わせてた。私、友達がいなかったから…」と彼女は、あの子達と今日に至るまでの話をしてくれた。しばらくして僕は、うつむいている彼女に話始めた。
「僕も中学生の時クラスの子からいじめられてたんだ。。だけど…ある女の子が僕をいじめるやつに仕返しをしてくれて、それから常に僕の側にいてくれるようになってね。ある日その子が"ねぇ!空をみて!綺麗だよ!"って言って僕も見上げたときの空に感動したんだ。雲一つない快晴の空がオレンジ色にグラデーションされていて。それが印象的でずっと、上を向いてあの子と見た空をもう一度見れるように、毎日、上を向いてシャッターを切ってるんだ…」そこまで言うと彼女は僕の方を見て目を丸くしていた。
「あのときのお返しだね。次は、僕が君を守るよ。」
そう言うと、彼女の表情は緩み微笑んでいた。
「ねぇ、空をみて!綺麗だよ。」と僕が言うと、彼女は上を向き
「私の真似しないでよ。」と笑いながら言ってきた。その時の彼女の表情と雲一つない快晴の空にオレンジ色にグラデーションされていて…
僕は思わずシャッターを切っていた。
4/13/2024, 1:24:28 PM