未だ嫁修行

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【恋物語】
(私にしてはかなり長文)

~その1~
高校生の時、憧れの人がいた。
告げた記憶はないのだけれど…
卒業後、地域のサークルで一緒になり帰り道ドライブに行ったりした。
憧れが現実になると冷めてしまうのが私の癖なのか、サークルの足も遠のき、そのままになった。
数年前、地元のお祭りで偶然会い、○○さん?と声をかけられた。
還暦間近というのに甘いマスクは若い頃のまま
少し心がときめいた。

~その2~
大学のサークルで、無口でシャイな人に出会った。
飲み会の時は、さりげなく隣に座った。
彼女がいると仲間の噂話で知ったけど想いを捨てることはできなかった。
彼がサークルを辞め会うこともなくなり、それでも忘れられなかった。
想いを抱えてることが苦しくなって告白してあきらめようと決め電話で呼び出した。
初めて作った不格好な手作りのシュークリームを持って彼を待った。
小さな古い喫茶店をなかなか見つけられなかった、と遅れてきた彼に
「好きでした」
絞り出すような声で告げた。
返事がなんだったか、本当に記憶がない。
うん、と頷いただけだったか?
そう…と言ったか?
それだけで終わった。
「好きでした」
なぜ過去形で言ったのか?
あるいは言えなかったのか?
自分でもわからない。
たぶん踏ん切りをつけるためだったからかもしれない。
噂では今も隣町に住んでいるらしい。
竹内まりやの「駅」みたいなことがあったら良いのに…と思いつつ、きっと会ってもお互いわからないかも、とも思う。

~その3~
社会人になり長期研修で一緒になった人はハンサムではないけど、とても話しやすくて楽しくて自然体でいられる人だった。
研修が終わる頃、勤務地も遠いしもうこれで会えないかと思うと急に寂しくなった。
電話番号と住所を交換し、またねと別れた。
1度、家に電話をかけた。お母さんが出て、今日は仕事だと言う。
手紙も書いた。
少したって返事をくれた。
真面目な律儀な人なのだ。
離れていると憧れが憧れをよび、より素敵な人に思えてくるような…
それが虚しかった。
北海道にひとり旅に出て、そこから電話した。
在宅していて話すことができた。
「お見合いの話があるの」と唐突に言ったら、「そうか!」という言葉。
研修の時に「神威岬は良いぞ!」とあなたが言ったから、北海道に来てるのよ!とは言えなかった。
その後は連絡をしなかった。
せめて当時、携帯やメールがあったら繋がっていられたのだろうか?そうしたら違う人生があっただろうか?と今のデジタルの進歩にふと思う。

~その4~
中学生の頃から憧れの俳優がいた父親くらいの俳優だったが、所作や仕草、甘い声、シュッとした顔立ち。
当時はビデオもなかったのでブラウン管に映る俳優の写真を撮った。
大人になってからも結婚してからもずっとファンで亡くなった時は本当に悲しくて寂しくて…再放送のドラマは全て録画した。
好きという意味では、その俳優が一番好きだったかも…
柏原芳恵の「最愛」のようなものである。
一番好きな人の前ではおならもゲップもできないのだから…

今、隣にいる夫の前ではおならもゲップも平気、なぜなら一番好きな人ではないから(笑)

恋と愛の違いは何か?
恋心は相手をよく知らなくも持てるけど、愛情は相手を知らなければ持てない感情だと思う。
そういう意味で夫との恋物語はない。
恋する前に夫という人間を知ったから…

#7

5/19/2023, 6:27:01 AM