光る苔

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人間が怖い、という言葉をよく耳にする。
しかし、その台詞はもう聞き飽きたものだ。

僕は、人そのものがそこまで怖いとは思わない。
怖いのは人ではなく、
人の内にある悪意や、
人が集団になったときに生じる力だから。
もし人そのものが怖いのなら、
僕らは誰とも関わることができないはず。

むしろ幽霊の方が怖い。
どう向き合えばよいのか分からないから。
意思が通じるのかどうかも分からず、
ただ何もできないまま終わりそうな気がするから。
しかし、それでも会ってみたいとも思う。
もし知り合いのように語り合える存在であれば、
少しは安心できるかもしれないから。

また、曖昧で大きすぎるものを考えるときも怖さを覚える。
未来、宇宙、自己認識といった問いについて、
正解の有無すら定かでない事柄を考えていると、
足場が失われるような感覚になる。
しかし、考えること自体は好きなのだ。
ただ、どれほど思索を重ねても、
最後は「分からない」に辿り着いてしまう。
そのことが怖い。

結局のところ、僕らが怖れているのは不明さである。
それが危険なのか安全なのか、
予測できないからこそ不安になる。
しかし、その恐れもまた人の性質に属するものなのだろう。
分からないものを警戒するからこそ、
人は慎重になり、生き延びてきたのである。

そう考えれば、怖がりという性質も決して悪いものではない。

そんなことを考えながら、布団に入るのだ。
電気はつけておく。
理屈では理解していても、
やはり少し怖いから。

3/16/2026, 4:39:52 PM