風邪の続き
落下
ふわりと体が浮き そうして急激に
落下スピードが上がり体が急降下して
行く。
このままでは、俺の体は地面に叩きつけられ俺は、死ぬだろう....
俺は、落下していく体と一緒に上に昇って行く景色を見ながら 俺に留めを刺さんとする人影を視界に捉えた。
嗚呼 死ぬのか.... 不思議と恐怖は
湧かなかった。
俺に剣を振りかざそうとする少女の笑った
顔が視界に過るまでは その瞬間俺は
剣の柄を握っていた。
俺はその瞬間 諦めていた気持ちが上昇し
気が付いたら剣を抜いていた。
完全に落下の態勢だった俺の体が少女の
剣と交わった瞬間 姿勢を垂直に保ち
金属のぶつかる音と音が俺の鼓膜を叩き
俺を持ち上げる。
生存本能とは、違う別の何かが俺を
突き上げる 楽しそうにダンスを踊る様に
まるで剣の舞の演舞かの様に俺の剣とかち合わせて戦う少女に俺は、見惚れた。
そうして俺は心の底で、はっきり思った。
もっと もっと戦いたい この少女と
命のやり取りをしたいと ひりつく様な
ぞくぞくと麻痺した感覚に俺は興奮し
高揚していた。
(ああ....良い もっと もっと俺を見ろ
俺の命を奪って見ろ お前の命は俺が貰う
誰にも渡さない....)
そんな懐かしい高揚感を感じた夢を見て
俺の目覚めは、覚醒した。
窓から差し込む光に目を眇め手で目元を
押さえ光を覆う。
横を向くとさらさらした感触があった。
「先輩 今日 お寝坊~ 私 今日早起き
したよ~えっへん!!」少女は偉そうに
胸を張り陽だまりみたいな笑顔を俺に
向ける。
いつもならそんな少女の態度を完全無視するのだが.... 今日は久しぶりの休暇で
偶然にも二人っきりだった事もあり俺の
箍も外れてしまった。
それを夢の余韻のせいにして俺はニフジを
後ろから抱きしめた。
ニフジは、俺の珍しい態度に目を丸くさせ
俺を見る。
「先輩どうしたのぉ~寝ぼけてるの?
もう!だから夜更かししちゃ駄目って言ったのに~」見当違いの反応をするニフジ
俺は、そんなニフジの言葉に
「うるさい!」と返しニフジの首筋に唇を
落とす。
途端にニフジが「きゃははっ~先輩擽ったい!」と子供みたいな反応を示す。
(ガキ!ムードもへったくれも無ェ....)
「先輩 今日 変だね!可笑しい!」
「黙ってろ!」と俺はニフジの唇を自分の
唇で塞ぐ。
「っ・・・・んっ・・・・」俺は舌を絡ませニフジの吐息すらも奪う。
「先輩 苦しいよ~ 苦しいからそれ嫌だ」ニフジが頬を膨らませて俺に抗議する。
そう こいつはこんな行為の意味も良く
分かってはいない....俺のこの気まぐれの
戯れもこいつの中では、唯の悪戯
動物がじゃれ合って遊ぶ程度の意味しか無い
「お前を苦しませる為にやってんだよ」と
俺は、ニフジに向かってニヤリと笑う
ニフジは、そんな俺の表情を悔しそうに
眺め俺の首を絞めて来た。
俺は自分の手を入れて呼吸を確保する。
キスのお返しが首絞めってニフジしか
思い付かないだろう....
ニフジはまだ俺を睨んでいた。
俺は、その顔を見て口角を上げた
(良いぜ....今日は休みだし....とことん
付き合ってやるよ!)
こうして俺は猫のじゃれつきに一日中
付き合ってやったのだった。
6/18/2024, 12:01:33 PM