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目が覚めると


カチリ、と音を鳴らして、秒針は時を刻むのをやめた。
午後二時五十四分を指した、壁に掛けられたその時計は、そっと眠りにつく。
何年も、何十年も経って、目が覚めると、刻むはずの針はなく、固まった体を伸ばすように羽を広げた。
木目調の羽をゆっくりと羽ばたかせ、かつて時計だったものから、離れた蝶々はお礼を言うように上下し、世界へと飛び立っていった。

7/10/2023, 1:51:23 PM