Frieden

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「愛言葉」

「愛しているよ」。
「愛している」という言葉では表せないくらいに、君たちを愛しているよ。

元気で甘えん坊な双子。小さなふたりを、目一杯愛していることを、ずっとずっと伝えてきたつもりだった。
本当に愛しているから、尚更言わなければと、そう思って。

でも、小さな君たちを十分に愛することができなかった。
いくら後悔しても埋まらない時間の溝。
目先のことで誤魔化しても、私はずっと苦しかった。

苦しいのは、君たちの方なのに。

君たちをひとりぼっちにして、悲しませて。
いくら恨まれたとしても仕方がない。
そう思っていたのに。

……まさか君たちの方から会いに来てくれるなんて。

あの時と同じ小さな姿のままの君は、自分のことを「いらない子」かと聞いてきた。

違う。違うよ。
私に初めてあどけない笑顔を見せてくれた君を、いらないなんて言えるはずがない。

今も昔も、ずっとずっと愛しているよ。

優しくて賢い君だって、まだ小さい。
なのに、私の大事な仕事を引き継いでくれた。
本当にありがとう。

その元気な笑顔の裏に、たくさんの苦労を隠しているんだろう?
大変な思いをさせて、本当にすまない。
どうにか君を手伝いたいのに、不甲斐ないね。

だからせめて、これだけは伝えたい。
愛しているよ。これからもずっと。

君たちがここにいる間だけでも、目一杯伝えたい。

愛しているよ。


「前回までのあらすじ」───────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!

……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。

その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?

それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。

小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?

もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!

というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。

ところで、構造色の髪の少年が何かを考え込んでいるようだが……?

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10/27/2024, 2:09:59 PM