青空、雲が流れる様をずっとずっと見ていた。
「また ここかよ」
自分の叔父が河川敷に寝っ転がる自分を覗き込むとそうやって呆れた声を出した。
叔父の家は、川の近くにある。
ウチの家とは違って、近くには自然が広がっている空気が美味しい場所だ。
「子供のくせにいっちょ前に憂鬱って雰囲気出してんじゃねぇよ」
そう言いながら、叔父は手に持っている釣り竿の準備を進める。
生き餌をはりに通す。
叔父は釣りが好きでここに住んでいるという。
私は、夏休みにこの家に預けられた。
「うっさい」
この人は嫌いだった。
親よりも私に近いことを言うけど尊敬できない。
ヒゲモジャだし、金には困ってるし、なのに、みんなが言う、先生や大人が言う良い人じゃないのに先生や大人よりも楽しそうに笑う。 良さそうな声でからかう。
この人に対してどんな評価が正当なのかわからない。
『おーい。 おきとんのかぁ? 蚊に刺されるぞそんなところで寝てたら』
起き上がると、辺りも少し暗く変わっていた。
釣りバケツからはたまに水が飛び跳ねてるのが分かる。
今日は釣れたみたい。
「そういえば、おじさんってなんでそんなに楽しそうにできるの?」
「久しぶりにちゃんと会話だなぁ? ん〜そうだな。 諦めてるからじゃないか?」
そう言って私には視線を向けずに釣り竿の先をみなおす。
「人生がうまくいかなくてもいい。 生活がうまくいかなくてもいい。 そうやって、少しづつ少しづつ削っていった先には意外と光があったんだよ。 彫刻みたいな話かもな」
「なにそれ」
やっぱり、私はこの人が嫌いだった。
8/10/2023, 6:49:25 AM