モノクロ
貴方がいない世界は酷くつまらない。その世界をざっと1000年は生きていたはずなのに。
一度貴方と出会ってしまえば、それからはただずっと寂しかった。私一人で生きているのが馬鹿らしく思えるほどに。
貴方がいたから私の世界は色づいた。貴方がいたから私は生きていた。
人間にとっての酸素と変わらない存在、それが貴方だった。それを失った時、私はただ悲しみにくれた。
100年は泣いていたし、それから100年は受け入れられずに怒り狂った。それだけ貴方が好きだった。
100年なんて生きられない貴方だったら、きっと君は200年も無駄にしている、と言うだろう。
その時間が貴方の消失を受け入れるために必要だったの、と言っても分からないだろう。
それが貴方らしくて、懐かしくて。……もう懐かしい、なんて思うほど時が経ったのかと、辛くて。
貴方が居なくなって、私はひとつでこの世界を生きていた。理由もなく何日も、何ヶ月も、何年も過ごした。
時代の移り変わりを見て、貴方がまた生まれ変わらないかと希望も抱いた。……そんな事はやっぱり無かったけど。
今の私の世界はモノクロで、やっぱり酷くつまらない。
――だけど、きっとそろそろ私も天使が迎えに来る頃だろう。だから、どうか、どうか。
私の世界がまた、色づきますように。
9/29/2025, 11:21:51 AM