ドン、ドン、と遠くから花が散る音が聞こえる。ふと部屋の扉がノックされ、行かないの、と声がした。布団からは行かない、とくぐもった声がする。それから、扉の外の気配はいなくなった。今日はもう帰ろう、とベッドの淵から腰を上げた時、すすり泣く声が聞こえた。「祭りなんて、行ったって意味ないよ…」「あの人はもう居ないのに。」丸まった毛布に手を添えて、呟く。「ずっと、待ってるよ」「だから早く、会いに来て。」花が散る音が聞こえる、あの神社で。
7/28/2022, 5:39:32 PM