【鳥のように】
(魔女と弟子)
「どうせなら鳥の羽の方が良かったかしら」
猫の姿になった僕の背中にあるコウモリの翼を見て、魔女である師匠が言った。
『僕はどちらでも構いません。あなたがくれる姿なら、どんなものでも……』
死にかけた僕を助けるために、師匠は僕を使い魔にした。その時、師匠がくれた姿がコウモリの翼がある巨大な猫。しかし、僕はうまく飛ぶことができない。大きすぎるのかと身体を小さくしてみてもだめだった。
この翼は飾りに近く、滑空するのがせいぜいだ。鳥のように自由に飛びたいのなら、そのための術を習得する必要があるだろう。
師匠にブラッシングしてもらいながら、僕は言った。
『どんな姿にされてもいいですけど、人間の僕は残しておいてくださいね』
「あら。まだ未練でもある?」
『ありますよ。人の腕がなければ、あなたを抱きしめられないでしょう?』
師匠は顔を赤くして、僕を膝の上から押し退けた。
8/21/2024, 10:17:44 PM