祷楓 (いのり かえで)

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『ゆずの香り』

本日は冬至に当たる日。
古来より、冬至は太陽の力が一番弱まった日にして、この日を境に再び力が甦ってくることから、陰が極まり再び陽にかえる日とも考えられている。
──その流れから生まれた四字熟語が、「一陽来復」。意味は、悪いことが続いた後に幸運が開けること、とされている。
これは冬至を境に運が向いてくるとしているためで、験担ぎのためか『(う)ん』がつく食べ物を食べる風習も浸透していった。

冬が旬のゆずは香りも強く、強い香りのもとには邪気がおこらないという考えもあったので、邪気祓いとしてゆず湯に入る習慣が根付いていったようだ。同じものに菖蒲湯もある。こちらも理由は似たもので、やはり邪気祓いとして入浴したらしい。
実際に健康や美容にもいいことが現代の化学で判明している。
昔の人はそんな科学的根拠など知らずに、なんとなく理解して習慣にしていたのだろう。

……などと小難しい本を読みながら、私はゆずの香りに満たされた浴室で、ゆず湯にゆっくりと浸かる。
いやあ、私も嫌なこと続きで冬至を機会に邪気祓いできたらなーとちょっとだけ験担ぎとして入浴していた。
このゆず湯で私の邪気祓いもできたはずだし、明日はいいこと起こりそう!
少しだけ明日が楽しみになったのだった。

12/22/2022, 10:56:56 AM