海街 鯨

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まどろみの中、目を開けた。

体にへばりつく溶液を必死に振り払おうとしても、離れてはくれない。

“先生”は、私のことを“ベクトル”と呼んだ。

上からくる薄暗い光に照らされて、



ポラリスと言われる実験体カプセルの中で

私はただ、耳をすませた。










No.0883─「最後の受信」

お題「また明日」

5/22/2024, 10:04:26 AM