ストック1

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「夜空の輝きと掛けまして、犯人と解く
その心は、どちらも星でしょう」

絶妙にうまくない謎掛けをしているな
というか、下手だ

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花、これなーんだ
正解は人間でした」

それを言うなら最初は四本足、次に二本足、最後は三本足じゃないのか?
ある意味、間違ってはいないけれども
……なあ、現実逃避してもいいことはないぞ?
ここはキッチリ切り替えていこうぜ

「お前に何がわかるんだよ
俺の心の傷はお前の想像よりも深くて痛いんだよ」

秘密のノート見られただけだろ

「それが致命傷なんじゃねえか
よりによって永遠なる闘争の剣(エターナルラグナロク)を一番見られたくない姉に見られたんだぞ」

確かに、あの人に見られるのは嫌な感じはするけど

「見つかった時のあのニヤけ面を思い出すだけで冷や汗が出そうだよ、俺は」

全部見られたんだったか

「そうだよ
俺の考えた魔法の、混沌に染まりし暗雲(カオティックダーククラウド)も、審判下す王の双眸(ジャッジメントロードアイズ)も、深淵より出でし怨嗟の慟哭や、その他も余さず見られたよ」

キツイなぁそれは
だが気を落とすな
俺のノートを見せて、苦しいのは自分だけじゃないと思わせてやるから

「俺並みにキツイのがお前にもあるってのか?」

正直、お前並みにキツイかどうかはわからない
お前とは方向性が異なるからな
キツイの種類というか、意味が違う
見てくれ、俺がかっこいい魔法とかを作ろうとすると、なぜかこうなってしまうんだ
ほら

「えーと、トゥインクルドリーム?
ん?
おかしくね?」

そうだよ、おかしいんだよ
俺がかっこつけようとするとなんかこんな感じになる

「ハートフルアロー
マジカルハッピーシャワー
え、魔法少女もの?
なんでかっこつけようとしてかわいい感じになるんだよ?」

知らん
そして、かっこよくならずに、かわいらしくなってる自覚はあるところが不思議でならない
どうだ、俺に比べればなんの問題もないだろう
かっこつけようとしてかっこついてるんだから
恥ずかしがる必要はない
俺なんてかっこつけた結果、なんかファンシーになってるぞ
さらに俺の生み出したものは全く俺の趣味じゃないし
ともかく、姉に笑われたからなんだ
自分の好きなものに自信を持て
かっこつけたっていいじゃないか
お前のは普通にかっこいいし、痛くなんかない
黒歴史なんかじゃないと胸を張れ

「まあ、そうだよな
好きなことだもんな
元気が出てきたよ、ありがとう」

それにしても、永遠なる闘争の剣(エターナルラグナロク)とか、俺も思いついてみたかったな

「月並みだけど、きっといつか思いつけるようになるさ
がんばれよ」

そうだな、俺もがんばってみるか
手始めに強い光線を相手に放つ魔法の名前とか、考えるかな
ええと、キラメキシューティングスター
……ダメだこりゃ

「穢れ祓いし清浄なる一閃」

ああ、これは絶対にお前には勝てないな

2/23/2025, 11:08:25 AM