「先輩、どうしましたか?」
何となく元気がない恋人に声をかける。
「ううん、何ともないよ」
にっこりと笑ってそう答える彼女。いつもならすぐ食べ終えるはずのアイスが残っている。いつもなら食い入る様にみる彼女の好きなお笑いのテレビも上の空だ。
「何ともないはずないでしょう?」
追いかける様に、もう一度尋ねてみる。彼女は私のそばへやって来て隣に座った。
「本当に大した事じゃないの」
「はい。何ともないことでも、どんな事でも、貴方のことならなんでも知っていたい。教えてください」
「ただ...」
そう言うと、私の耳にその形のいい唇を寄せた。
「クシャミしたいの我慢してるだけ」
#些細なことでも
9/4/2022, 12:36:53 AM