性同一性中学生

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手のひらの宇宙はいつしか消えていた。
私が幼い頃は空を飛ぶことが出来て、魔法使いになれて、空を流れる雲は物語を作り、シーツはマントになった。手をかざせばそこには宇宙が広がり、月にまで飛んでいけた。
いつしか勉強が大切で忘れていたけれど、今だって昔と同じように手をかざせば宇宙は広がるはずだった。
けれど、私の期待は淡く脆く何よりも私の信仰心のなさによって崩された。私がもっと、私を信じれば、私がもっと私を愛していれば今も宇宙は簡単に広がるはずだった。
だが、何度目をつぶって空を仰いでも、私の目に移るのは恐ろしいくらい青い空と、ただの手のひらだった。

1/18/2025, 12:15:37 PM