《この心を知らない》
(刀剣乱舞/信濃藤四郎)
刀剣男士は人の姿をしているが、人には成れない存在。
神の端くれと言えど付喪神。
人に愛され、守られて受け継がれた心の形。
しかし信濃藤四郎は「恋」とか「愛」が分からない。
審神者への忠誠心とも、かつての主に寄せる気持ちとも違うとは言うけれど、どう違うのか分からない。
悩んだ末、審神者に直接聞いてみる事にした。
審神者は「定義は無いけどね」と前置きをし、
「恋は"戀"って書いたの見たことあるけど、多分ね?
糸しい(愛しい) って、心が言うから戀なんじゃないかな。
ある人の受け売りだけどね」
と笑った。
信濃はその答えに「ふーん...難しいね」と返すだけだった。
「本気の恋とか、人間臭い事は無理してやらなくていいんだよ。そんなの抱えて刃が曇ったら困るだろうし」
「大変な心だね」
「それでも刀剣男士に心を与えたんだよ、私達は」
そう言った審神者の表情は少しだけ悲しそうだった気がした。
9/12/2024, 12:35:30 PM