人の為の苦労なら買うべきだと
漠然と、そう思っていた。
覚束なくても続けていれば
多少なりとも何時かは形になってくると
他人を 少しでも 愛せる様に
人嫌いが治って、歪を忘れて
自然と笑える口元を思い描いて
無理に暴かれた過去を塗りつぶせる様に
恐れと怯えに視界が滲むことが無くなれば
私の胸中も泰平を得られるだろうと
でも、駄目だ。
形のない短い秋に 恋い焦がれるように
時間と心だけが無下に割かれて
嫌に長い夜は表情も無いまま
私の独白を絡め取り潰し丸めて
朝に焼ける網膜ばかりを繰り返し再生する。
ちっぽけな言葉など誰にも届きはしないと
影を吸った白紙を風が去らうだけ。
失恋が決まっているなんて
飽きれるほどの喜劇でしかない。
ー 秋恋 ー
10/9/2025, 2:13:48 PM