ミヤ

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"君の声がする"

祖父母は優しかった。
なんといっても、義務教育終了までの衣食住を保障してくれたのだ。これは大きい。
ただ、年を追う毎に僕と彼女を混同する事が増えた。はじめは僕に彼女の面影を見る程度だった。
でも、気付いた時には取り返しのつかないほど会話が噛み合わなくなっていた。
晩年にはもはや僕は存在せず、名前を呼ばれることすら無かった。

声なんか無ければよかったのに。
届かない声なんて、何の意味もない。
発した声になにも返ってこないのは虚しいし、ひどく疲れる。
僕じゃなくて彼女の声だったら、最後の呼びかけにもちゃんと返事をしてくれましたか。


それでも。
君の声がする、と貴女が笑うから。
貴女が笑ってくれた、その一点だけで、声を失くさずにいて良かったと思うのです。

2/15/2025, 2:28:38 PM