リーンゴーン
リーンゴーン
帰り道、教会の鐘が聞こえてきた。どうやら結婚式が行われているらしい。
私は急く足を止めて、しばし聴き入った。
あの人は私のウェディングドレスを気に入ってくれるだろうか。それとも、白無垢派?
なんてことを考えてしまって、恥ずかしくなる。なにせまだお付き合いすらできていない相手だ。
私は早くあの人に会いたくてたまらなくなって、再び走り始めた。
今日は委員会の仕事で帰るのが遅くなると伝えたら、待っていると言ってくれた。
「ただいま!」
普段より大きな声で帰宅を告げると、奥からあの人が顔を出す。
「おかえりなさい。一息ついたら始めましょうか」
「はい!」
今日は家庭教師の日。
先生に会える日。
私は授業の準備をしながら、高鳴る胸をおさえて、あの鐘の音を思い出していた。
テーマ「鐘の音」
8/5/2024, 7:25:20 PM