猫灘

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目を開けてすぐ見知らぬ天井が目に入ってきて驚いた。
たしか先程まで会話をしていたはずだが、と体を起こしてここがメディカルルームだということに気がついた。
おかしいな、メディカルルームに来た覚えはない。
後輩と別れ際ノ冗談を言い合ってそれで。
それまでの記憶しかないな、と首を傾げたところで室内に誰かが入ってくる。
「先輩~! 大丈夫ですか? 意識ははっきりしてます? 記憶に変なこと起こってないですか? これ何本に見えます?」
入ってきたのは後輩だった。指を三本立ててこちらに見せてきたので一応「三本」と言っておいた。
「よかった~じゃあ取り敢えず先生呼んできますね!」
「おう」
後輩の目には涙が滲んでいた気がしたがつっこむのは止めておいた。
「心配かけたのかね」
一人呟くと後輩の「当たり前でしょ!」という声が聞こえてきそうだった。

「結論から言うと脳内チップの劣化からくる機能停止だね」
医者が言うには予想通りの言葉だった。
「なるほど……」
「破損寸前だったからチップは新しいのに変えてあるけど、ボディはどうする? そろそろ新しくしてもいいと思うけれど」
「じゃあボディも新しくします」
ついでだ、ついで。だから医者の後ろで不安そうな雰囲気を醸し出さないでくれ。
「ヒューマノイド型にして貰ってもいいですか」
「了解、3日くらいは入院ね」
「うへぇ」
そう話した医者は後でボディのデザイン持ってくるからと言って立ち去っていった。
「先輩しっかり休んでくださいね! 自分お見舞いにも来るんで」
「いや、そこまでしなくても」
ただのボディの交換だし、と言うが後輩は聞く気は無いらしく「じゃあ帰ります!」と言って立ち去っていった。
「ボディの交換終わったら酒でも奢るかあ」
ベッドに再び寝転びながらそんなことを呟くのだった。

4/21/2023, 9:03:42 PM