20歳の扉を開ける。
か弱いあの頃の私とさよならして
ひとりじゃ何もできない私とさよならして
たった一人で踏み出す未来には、何が待っているんだろう。
少し進むと、一人の大人びた少女が現れた。
「貴方はひとりじゃない」
そう言って、少女は後ろを指さした。
振り向いた先には、よく見知った顔があった。
家族、親友、かつての恋人、喧嘩別れした友達……
私は思った、そんなの嘘だ、と。
大人になるって、自立するって、一人で何でもできるようになるってことでしょう
少女は言った。
「忘れないで。貴方には今までのあなたをつくってきた人たちと、これから先を一緒に歩んでくれる人たちと、たくさんいるの。それを忘れたとき、貴方は、死ぬわ」
少女は前を向くと、そのまま真っ直ぐ歩いて行ってしまう。
何となく、その後ろ姿は自分自身に似ているような気がした。
「貴方は、生きて……」
1/10/2023, 5:20:29 PM