望まれ願われ、差し出され
数多の手に捏ねられて生まれたものがあった
人か、あるいは神か
美しい声、美しい姿
清らかな心、猛々しい力
物語のままに、描かれた舞台の上で踊る
やがて爆ぜる喝采が青褪めた月を覆い隠した
透明な涙は歓喜の為でなく
掌を傷付けたのは己が爪だと言えなくて
秘めた黒は裡に積もり、太陽なき夜を作った
果たしてあなたはどう在りたかったのか
夢の続きを教えてくれよ
水中では呼吸が出来ない
炎や宙に抱かれても生きられない
誰もが知る理をあなたはきっと切り捨てたのだろう
唄えない、戻れない、穏やかに紡ぐ唇
陽だまりの微笑み、しなやかな背も見慣れたけれど
私はまだ、あなたを知らない
あなたが笑うほど、私の瞳から溢れるんだ
花を慈しむ優しさが切なくて
陰から幸福を祈る愛が哀しくて
我儘だけれど、あなたをもっと知りたくて
いつか夢見た明日を教えて欲しい
あなたが海に沈む度に
あなたが空へ去る前に
あるいは、どうせ落ちてしまうなら
共に手を繋いで離さないでいようか
例え消え行く幻想でも、私はもう深く愛してしまった
報いるならば戦いを、二人きりの舞台の上で
私は照らし、あなたが踊る
あなたが輝き、私は唄う
こんな永遠なら共に行こう
一寸先が見えずとも、繋いだ熱がある限り
(光輝け、暗闇で)
5/15/2025, 10:33:00 AM