〈お題:遠い日の記憶〉ー評価:良作
「もしもし、かめよ、かめさんよ」
私がこの童話を知ったのは、幼少期の頃だった。妹が歌っていた。
私は物覚えが悪いので、妹に何度もせがんで、うさぎとかめを歌ってもらった。
何度もせがむ私を、鬱陶しく思ってしまったのだろう。妹は外で遊ぶ事を提案した。
「追いかけっこしようよ」
「いやだ」
「お兄ちゃん、カメみたいだもんね」
「お前はウサギだよ、結局負ける」
足の遅かった僕は妹に追いつけないのが、つまらなかった。
でも、結局遊んだような気がする。
カメはとてもノロマで、イジメられていてる。
僕がそのカメだった。
うさぎは足が早いし、意地悪なやつを懲らしめるいいやつだ。妹には、悪口として使っていたけれど、今ならば、良い意味を含ませていたんだと…今更か。
妹とはもう疎遠になったけれど、今度、連絡でもしてみようと思う。
第一声は何にしようか。
やはり、無難に「もしもし〜」と妹に語りかけようと思う。
(合作)
7/17/2024, 5:06:08 PM