猫宮さと

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《窓から見える景色》

ある日の昼下がり。
書類業務に疲れた目を上げて、ふと窓を見る。

執務室の窓枠に切り取られた空は、高く澄んでいる。
夏には猛威を振るっていた太陽も今は物静かになり、差し込む光も柔らかな色に変わっている。
広葉樹は葉の緑を少しずつ赤や黄に色付かせ、針葉樹は冬に向け緑を深く落ち着いた彩度に塗り替えている。
庭を彩る秋桜や紫苑がさわさわと揺れ、秋の風の存在を教えてくれる。

休憩用のソファに腰掛け本を読む彼女に目を向ければ、同じように窓からの秋を楽しんでいて。

こんな何気ない光景に心を緩ませる。
かつての戦いの日々からは考えられない程の、この長閑な日々。
その幸せのありがたさを、僕はゆっくりと噛み締めた。

9/26/2024, 5:39:42 AM