やわらかな光
「ん...」
目を瞑っているはずなのに視界が真っ白に輝く。
そもそも寝ていたらしい。
自分の家じゃないのにやけに落ち着く匂いがする。
このまま二度寝したい...
そう思っていたが数秒後眠気が疑問に飛ばされた。
その疑問も辺りを見回してすぐに解決した。
ここは彼女の部屋だ。
次の動画を流そうとスタンバイしているスマホが
彼女の手から落ちている。
2人で動画を見ながら寝落ちしたようだ。
うつ伏せで寝ていたはずだが、寝相の悪さか寝返りかで
部屋に差し込む光に照らされて起こされた。
彼女を起こさないようそっと立ち上がり窓に近づく。
夏はあれだけ鋭い日差しだった太陽も
今の時期には優しい日差しになっている。
カーテンをゆっくり閉じて光が直接入らないようにする。
彼女に近づいて寝ている愛らしい顔を眺めるようにした。
こんな時間が続けばいいのにと思う反面、
起きてお話したい寂しさが優しい光と混ざる。
暖かいはずの部屋で1人鳥肌を立たせながら、
彼女が起きるのをひたすら隣で眺めていた。
語り部シルヴァ
10/16/2024, 11:15:19 AM