郡司

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もふもふ。
ぽよぽよ。
ふかふか。
のほほん。

わが家にはたくさん、ぬいぐるみがある。ほとんど子どものものなんだが、圧倒的に猫型が多い。子どもが寝るときに使っている着ぐるみは招き猫だ。猫ねこ猫ねこ猫まみれ。下の子どもは猫が好きだ。

子どもが学校の行事に役割を得て、家でも練習したのだが、そのさい「練習相手」としてそのぬいぐるみ達を子どもが持ち出してきた。大勢の前で演説を打つから、ぬいぐるみ達をギャラリーに見立てるんだと。そして、練習に付き合え、と。

そうか、じゃあこの「ギャラリー達」を小学生ぽく振る舞わせればいいんだな、と、上の子どもと私はそのようにした………ら、練習が進まない。我ら「小学生」が演説者をあさってに、もきゃもきゃ遊んで、「先生に怒られるフラグ」を立てるからだ。もちろん、まじめなシミュレーションとして。

下の子どもは言った。「今の小学生はちゃんと静かに聞くんだよ。そんなふうじゃないよ」…えっ、そうなの? マジ? 演説者ガン見されるの? 目に見えない「何かの矢印」がたくさん静かに飛んでくるの? そうか、じゃあ静粛にガン見の圧を出そう。

練習は首尾良くできたようだ。大好きなぬいぐるみは、「変な迫力のある姉」と「ちょっとアレなドスがきくママ」が立ち上らせる「何かの矢印」の中でも、落ち着いた自己評価と素早い試行と改善出力をするためのバランサーになってくれたらしい。一度、自分自身で工夫した結果に会心の出来を経験できれば、それが自信の種のひとつになる。

翌日、学校から帰って来た子どもは、先生の指摘した箇所をクリアできたと、開口一番に教えてくれた。

3/5/2024, 4:05:04 AM