駒月

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 先日、寒いからとこたつを出した。ぬくぬく天国だ。
 晩ごはんはアツアツのすきやき。
 父さんと母さんと家族三人……鍋を囲んで

「「「「いただきます」」」」

 ん?一人多くない?
 気配もなく私の隣に座りに来たのは、幼馴染みのアイツ。
 さも自分も家族だという風に座り、すきやきの肉を美味しそうに頬張っている。

「どうかしら?おいしい?」
「ん、すごく美味しいな」
「ははは、いっぱい食べなさい」
「じゃあ、お言葉に甘えて」

 母も父も上機嫌。母に至っては野菜を取り分けている。いやいやいや、コイツうちの子じゃないでしょ。

「待って待って待って?!何でいるのさ!あーっ、それ私の肉!」
「少し落ち着きたまえよ」
「アンタねぇ!!」

 胸ぐらを掴んで怒鳴る。すぐ父に止められたけど。
 母いわく、奴の両親は仕事で長期不在で。寂しいだろうから、ごはんくらい一緒に……と誘ったらしい。

「ふふ、温かいね。こたつもすきやきも」
「アンタ、もしや毎日来る気?」
「うん。冬の間は両親が不在だから……毎日団欒できるね?」
「マジか……」

 よろしく、と微笑む奴に私の日常は狂わされる──空いた手にそっと、隣の奴の手が重ねられて。

 ほら、ね?




【冬は一緒に】

12/18/2023, 11:52:58 AM