紺色

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死んだ人は生き返らない。

戻って来たとしても“それ”は人じゃない。

“それ”は人に化けた妖怪だ。

(あのー、今日読み返してて気づいたんですが、セリフの部分ミスってました。ごめんなさい)

※若干怖いです。




小さい頃、おばあちゃんが死んだ。

いっぱい泣いた記憶がある。

優しかったおばあちゃん。

いろいろ気にかけてくれたし。

いっぱいご飯を作ってくれた。

いろんなものを私にくれた。

なんだか、いなくなった実感がわかなかった。

多分どこかで暮らしてて、いつか帰ってくるんだろうって。

3日たって、我慢できなくなった。

おばあちゃんに会いたいと言うと、お母さんに、

「お別れしようね」

なんて言われた気がする。

横たわって、花に囲まれて、いつもより肌の白いおばあちゃん。

それを見て、怖くて泣いてしまった。

近づきたくない、見たくないって泣きじゃくって。

家に帰って、思い出した時、怖いのと、それから徐々に実感が湧いたのとで、また泣いてしまった。

おばあちゃんがいなくなって1ヶ月。

一人で留守番をしていると、突然インターホンが鳴った。

お母さんには、一人の時は出ちゃいけないって言われてたけど、一応確認する。

外には、大好きだったおばあちゃんが立っていた。

私は、喜んでドアを開けた。

おばあちゃんが帰ってきた。

そう思って。

「おばあちゃんおかえり!」

「ただいま」

でも、おばあちゃんは家の中に入ろうとしない。

「どうしたの?」

「おばあちゃんを家に入れてくれる?」

「うん!“どうぞ”」

おばあちゃんが家の中に入ってくる。

両親が帰ってくるまで遊んでくれた。

「そろそろお母さんたちが帰ってくるよ!」

おもちゃをドタドタと片付けていると、おばあちゃんが肩を叩いてきた。

「おばあちゃん?」

「おばあちゃんと一緒に帰らない?」

「でもなぁ、お母さんたちが…」

「実はお母さんたちにも「是非連れて行ってくれ」って言われてるんだよ」

「そうなの?」

「それにお母さんたちも毎日来るそうだから」

「んー、じゃあ行こうかな」

「そうだね、それがいい」

でも、丁度お母さんたちが帰ってきた。

「おかーさーん!!」

お母さんのところにとんでいった。

「どうしたのー?」

「おかえり!」

「ただいま」

「さっきおばあちゃんが来たんだよ!早く来て!」

お母さんが不思議そうな顔をする。

お母さんを急いで引っ張って行ったがさっきまで確かにいたはずのおばあちゃんはいなくなっていた。

「あれー?」

「いないね」

「どこ言ったんだろ?」

夜、窓を誰かが叩いた。

凄い顔をしたおばあちゃんだった。

だけど、そこは二階でありえないってことくらい分かってたから、私は怖くて泣き叫んだ。

すぐにお母さんたちがなだめてくれたけど、耳元で舌打ちが聞こえた気がして、怖くて眠れなかった。



まぁ、多分幼いながらに分かってはいた。

おばあちゃんは“おばあちゃん”じゃなかったって事を。

ただ、そんなのどうでもいいくらいにおばあちゃんが好きだった。

おばあちゃんの皮をかぶった何かだったとしても、お母さんたちがいなければついて行っただろう。

おばあちゃんは私にとって、大切な人だったから。


                              オアシス

読んでくださりありがとうございました。

なんか書いてて何度かゾッとしました。

もしも亡くなった人が、自分一人の時、家に尋ねてきたら。

貴方ならどうしますか?

7/28/2025, 9:47:18 AM