《子供の心は何処へ》
(刀剣乱舞/千子村正)
その本丸の審神者は十にも満たない子供だった。
けれども随分と大人びており、精神年齢だけで言えば大人にも思える人間だった。
だからこそ、遊びをする姿は見ることがなかった。
ある日、千子村正は審神者が現世へ赴く用事が出来た際に伴をした。
道中の公園から聞こえた子供の笑い声にふと目をやると、
ブランコやジャングルジムなどの遊具で遊ぶ子供たちの姿が見えた。
「主はあのように遊びたいと思うことは無いのデスか?」
村正の問いに審神者は一瞬子供たちの方へ目線を送るが、直ぐに戻し、
「子供で居られなくなったからね」と答えた。
「審神者になった事を悔いているのデスか?」
「そんなことは無いよ。でも、同じような年齢の子達と遊びたいと思うのは嘘じゃないよ」
「ジャングルジムに登って、そこから見える景色の綺麗さは1度だけ知ってる。秘密基地みたいで楽しかった思い出も」
「主といえどまだ子供なのデス。遊ぶ事も仕事と言うでショウ?」
村正の言葉に審神者は微笑むだけで、応じることは無かった。
9/23/2024, 12:08:11 PM