小説
おばみつ※ほんのり最終決戦
彼女の瞳は愛情で満ちている。
道端の花を見る目、好きな食べ物を食べる時の目、愛猫の話をしている目。
若草色の美しい瞳は、彼女の表情に更なる彩りを与えていた。
その瞳が、俺を捉える。
「伊黒さんって、とても素敵な瞳を持っているのね」
俺はこの両目が嫌いだった。俺を生かした最悪の元凶であるこの両目が。
それでも、君が素敵と言ってくれるなら。この瞳を大切にしようと思った。
今はもう何も見えなくなってしまったけれど。
彼女の澄んだ瞳がありありと目に浮かぶ。
嗚呼、今なら分かる。あの瞳が何を思って見ていたのか。
もう一度見つめて欲しい。
あの愛情のこもった優しい瞳で。
11/27/2024, 11:42:59 AM