蓼 つづみ

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卒業証書の白い縁の内側、
厚みのある一枚。
折れないように丸めた時間。
筒の中で守られた、紙の重さ。

校舎の影に隠れて、
背伸びする下級生の列。
制服の袖がまだ長い。

窓枠の中にある渡り廊下。
光の帯を踏んで走る誰か。
顔は逆光でわからない。

風に押されて揺れるカーテン。
隙間に挟まった、遠い街路樹の緑。
わけもなく眺め続けた景色。

きっちり揃えきらない机。
落とし物の、誰かの消しゴム。

教科書の影に隠した口元。
肩だけ震えている。

妙に癖の強い黒板の文字。
力の入りすぎた書き出しだけが濃く、
息継ぎみたいに線がかすれている。

心の中に切り取られた光景は、
しまい忘れた光みたいに
ずっと、ずっと、残っている。

題 過ぎ去った日々

3/9/2026, 10:45:09 AM